はじめに
愛犬の健康を保つために、日常の食事は非常に重要な役割を果たします。特に、尿路結石(尿石症)は犬にとって非常に苦痛で、治療には獣医師の介入が必要になることが多い深刻な病気です。
この病気を防ぐためには、日々の食事管理が不可欠です。しかし、犬が食べてはいけない食品や食材についての知識がなければ、飼い主が意図せずにリスクを高めてしまうこともあります。
本記事では、犬の尿路結石を予防するために避けるべき食材や、適切な食生活のポイントについて詳しく解説していきます。
さらには、Petboxでは愛犬のための定期便を用意しています。ぜひ
こちらから確認してみてください。
尿路結石とは?
尿路結石は、尿路結石症と呼ばれており、尿の中に含まれる成分が結晶化し、結石(膀胱結石)が形成される病気です。
これが尿路内に詰まることで、犬は強い痛みや排尿困難を引き起こし、放置すると腎不全や命に関わる重篤な状態に至ることもあります。
結石の主な成分にはシュウ酸カルシウム、ストルバイト、シスチンなどがあり、それぞれの成分によって結石の種類や発生原因が異なります。
犬が尿路結石になると起こる体の変化
犬が尿路結石を発症すると、体に様々な変化や症状が現れます。これらの変化は犬の健康に大きな影響を与えるため、早期発見と治療が非常に重要です。
以下は、犬が尿路結石になると起こる一般的な変化です。
排尿に関連する変化
排尿困難(頻尿・血尿)
犬は頻繁にトイレに行くようになりますが、少量しか排尿できなかったり、まったく排尿できない場合があります。また、尿に血が混じる(血尿)こともあり、これは結石が尿路を傷つけている可能性を示します。
排尿時の痛みや不快感
犬が排尿する際に痛がったり、鳴き声を上げる場合があります。結石が尿道を塞いでしまうと、排尿時に強い痛みを伴うことがあります。
食欲の低下
尿路結石を患っている犬は、痛みや不快感から食欲が低下することがよくあります。特に重度の症例では、まったく食べ物に興味を示さなくなることもあります。
活動量の減少
体調不良や痛みのために、通常よりも動きが鈍くなったり、元気がなくなったりします。普段は活発な犬でも、尿路結石が原因で動きたがらない、散歩に行きたがらないといった行動の変化が見られることがあります。
お腹を触られることを嫌がる
結石によって膀胱や腎臓が炎症を起こしている場合、犬はお腹を触られることを嫌がります。痛みを感じているため、触れられると不快感を示すことが多いです。
嘔吐や下痢
尿路結石が重症化すると、嘔吐や下痢などの消化器系の症状が現れることがあります。これは、体内で毒素が排出されずに溜まり、腎機能に負担がかかるためです。特に腎不全の兆候がある場合は、すぐに獣医の診察が必要です。
尿路結石に関係する主な食事要因
尿路結石の発生に影響を与える食事要因には、主に次のようなものがあります。
ミネラルの過剰摂取 犬の体に必要なミネラルも、過剰に摂取すると尿路結石のリスクを高めます。特に、カルシウムやマグネシウム、リン、ナトリウムは結石の形成に大きく関与します。
タンパク質の過剰摂取 動物性タンパク質の多い食事は尿の酸性度を上げるため、特にシュウ酸カルシウム結石のリスクを高めます。過剰なタンパク質摂取は、体内の尿素窒素が増加し、尿のpHバランスが崩れる原因にもなります。
水分不足 十分な水分を摂取していないと、尿が濃縮され、結石の形成リスクが高まります。水をしっかりと摂取することは、尿中の成分を希釈し、結晶が形成されるのを防ぐ効果があります。
犬が食べてはいけないもの
尿路結石の予防や管理のために、特に避けるべき食品や食材について以下で解説します。
高シュウ酸食材
シュウ酸はカルシウムと結びつき、シュウ酸カルシウム結石を形成する原因となります。そのため、以下のような高シュウ酸食材は避けるべきです。
ほうれん草
ビーツ
ラズベリー
ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど)
紅茶
これらの食材にはシュウ酸が豊富に含まれており、尿路結石のリスクを高めます。特にほうれん草は犬に与えがちな野菜ですが、尿路結石のリスクを考慮すると、適量以上の摂取は避けるべきです。
動物性タンパク質の過剰摂取
犬にとってタンパク質は重要な栄養素ですが、過剰に摂取すると尿の酸性度が高まり、結石の形成リスクが増します。特に以下の食品には注意が必要です。
レバー
赤身肉
チーズ
魚介類(特に貝類)
これらの食品はタンパク質だけでなく、リンやナトリウムなど結石形成に関わる成分が多く含まれているため、適切な量を守ることが重要です。
高リン・高カルシウムの食材
リンとカルシウムのバランスは、骨の健康維持に必要ですが、過剰摂取は結石の原因になります。特に以下の食品は控えるようにしましょう。
乳製品(特にチーズやヨーグルト)
骨(生や加熱済みのもの)
卵黄
犬に骨を与える習慣がある飼い主は多いですが、骨のカルシウムが尿に過剰に含まれることで、結石形成のリスクが高まります。
塩分(ナトリウム)の多い食べ物
塩分の過剰摂取は、ナトリウムの排出が増え、尿の濃縮やpHの変化を引き起こすため、結石のリスクを増加させます。以下のような塩分の多い食材は避けましょう。
加工食品(ソーセージ、ベーコンなど)
塩漬け食品(干物や梅干しなど)
スナック菓子(ポテトチップスなど)
人間用に作られた加工食品は塩分が多く含まれるため、犬には与えないようにしましょう。
ビタミンCのサプリメント
ビタミンCは健康に良いというイメージがありますが、犬に過剰に摂取させると、体内でシュウ酸に変換される可能性があり、シュウ酸カルシウム結石のリスクを高めることがあります。ビタミンCのサプリメントを犬に与える際は、獣医師の指示を仰ぐようにしましょう。
尿路結石を予防するための食事管理
避けるべき食品だけでなく、尿路結石を予防するための食事管理のポイントも重要です。以下の方法で、愛犬の健康をサポートしましょう。
適切な食事バランスを保つ
タンパク質、脂質、炭水化物のバランスを考えた食事を与えることで、尿路結石のリスクを抑えることができます。特に市販のドッグフードは、犬種や年齢に応じた栄養バランスが計算されているものが多いため、獣医師と相談しながら選ぶことが大切です。
水分を十分に摂らせる
水分不足は尿路結石の大きな原因です。常に新鮮な水を与え、犬がしっかりと水を飲むようにしましょう。また、ドライフードばかりでなく、ウェットフードや自家製の水分を多く含む食事も取り入れると良いです。
pHバランスを考慮する
尿のpHバランスを保つことが結石の予防に重要です。ストルバイト結石はアルカリ性の尿で形成されやすく、シュウ酸カルシウム結石は酸性の尿でできやすい傾向があります。犬の尿のpHを定期的にチェックし、必要に応じて食事を調整することが推奨されます。
尿路結石用の特別食
市販されている「尿路結石用」のフードは、特に結石の予防や再発防止を目的に作られています。これらのフードは、適切なミネラルバランスやpH調整がされており、結石の形成を防ぐ効果が期待できます。すでに結石を持っている犬や、再発リスクが高い犬には、こうした特別食を積極的に取り入れることが有効です。
よくある質問
犬に尿路結石がある場合、与えてはいけない食材は何ですか?
高シュウ酸食材(ほうれん草、ナッツ類、ビーツなど)
塩分が多い食材(加工食品、スナック菓子)
動物性タンパク質が多い食材(レバー、赤身肉、チーズ)
高リン・高カルシウム食品(骨、乳製品)
ビタミンCサプリメントの過剰摂取
尿路結石になりやすい犬種はありますか?
特にシュナウザー、ダルメシアン、シーズー、ビション・フリーゼなどの犬種が尿路結石になりやすいとされています。
尿路結石を予防するために日常的にできることは?
十分な水分摂取を確保する。
バランスの良い食事を与える。
尿のpHバランスを定期的にチェックする。
尿路結石用のフードを選ぶ。
犬の尿路結石に市販のフードは適していますか?
一般的なフードよりも「尿路結石予防用」の特別食が推奨されます。これらはミネラルバランスが調整されており、結石のリスクを軽減します。
尿路結石を持つ犬でもおやつを与えても大丈夫ですか?
おやつは慎重に選ぶ必要があります。ナトリウムやシュウ酸が少ない、おやつ専用のものが推奨されます。
尿路結石ができた犬でもサプリメントを使えますか?
サプリメントは犬の状況に応じて獣医師の指示のもと与えるべきです。特にビタミンCやカルシウムサプリメントは注意が必要です。
犬が尿路結石にかかる原因は食べ物以外にもありますか?
はい。遺伝的要因、肥満、ストレス、水分不足、ホルモンバランスの乱れなども尿路結石の原因になります。
犬が尿路結石を発症した場合、どのくらいの頻度で再発しますか?
尿路結石は再発しやすい病気です。適切な管理を怠ると、再発率は高くなる可能性があります。
終わりに
犬の尿路結石は、適切な食事管理と生活習慣によって予防が可能な病気です。飼い主として、日々の食事内容を見直し、愛犬にとって安全で健康的な食事を提供することが重要です。
尿路結石は一度発症すると再発しやすい病気でもあるため、早期に予防策を講じることが大切です。獣医師と連携しながら、愛犬の健康を守るために、適切な食事管理を心掛けていきましょう。
また、犬の腎臓病に関して深く知りたい方は、
こちらの記事もおすすめです。